過去から現在へ1
僕は田舎に生まれた。川や田んぼ、山が身近にあるところだった。時間がゆっくりと流れていき、毎日が淡々とすすんでいく、そんな場所だったと思う。都会生まれの人たちがうらやむスローライフというものなのかもしれない。故郷を離れてもう何年もたつ。本来ならば、地元を懐かしむのが「ふつう」なのかもしれない。
だが、僕は違う。
思い出の中の僕の毎日は、とても孤独で、苦しくて、無力感でいっぱいで、自分の存在意義を見失うことの繰り返しだった。それでも生きていくためには、少しずつ、失っていくものがあった。自分の感情がよくわからなくなっていった。本当の自分はどれなのか、本当の自分の気持ちはどれなのか、わからなくなっていった。いろいろなコミュニティに参加しても、どの自分もなんとなく偽物な気がしてならなかった。
こうした過去の負の遺産を少しずつ清算していかなければならないと思う。少しずつ、徐々に、記憶を掘り起こしながら見つめ直していこうと思う。
続く