なによりも自分のためのブログ

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「議論」を議論したい

 「議論」とは複数人が集まってそれぞれの意見を出し合い話し合う行為である。会社で意思決定を行うときや、研究者たちが集まる学会において行われる。また、基礎的なコミュニケーション能力を測るために企業の採用プロセスで学生たちに行わせるケースもある。しかし、この「議論」はしばしば上手くいかない。とりあえず時間をかけたものの何が決まった訳でもなくいたずらに時間を浪費しただけに終わったり、政治的に力のある人間の意見が尊重されてしまったりと、本質的に意味がある形で行われないことも多い。そこで、議論とはなになのか、どういった目的があり、メリットがあるのかについて考えたい。

 議論が行われるときは、なにかしらの決めなければならないことが存在する。例えば、会社の今後の長期的な経営計画、論文において主張されている仮説は妥当性があるのか、自社製品の事故に対してどう対応していくのか、衰退事業を撤退するべきなのか維持するのか、といったものが挙げられる。つまり、こうした意見が分かれるものの話し合う必要性がある論点が存在していることが分かる。したがって、議論においては、論点に関連する意見が出し合われなければならないし、そうでない意見は議論の場にふさわしい意見ではない。論点について答えを出して意思決定をすることが議論の目的である。

 議論の目的は意思決定をするためであり、その意思決定は企業や組織、あるいは個人にとって良い結果をもたらしてくれる意思決定をすることが求められる。よりよい意思決定をするためには、議論の場において、多様な選択肢や指摘され、メリットとデメリットが出され、様々な視点から多面的に意見が交換されなければならない。一部の人の意見が偏って尊重され、威力を持ってしまってはこの有効な議論を行う妨げになる。したがって、議論の場では政治的な力関係や役職などは関係なく、対等な立場で皆が参加する雰囲気が形成されなければならない。

 個人の議論に臨む姿勢という点から考えると、互いに尊重しあうマインドセットが必要不可欠だ。相手の意見を頭ごなしに否定したり、自分の意見を絶対的に正しいものとは考えたりしてはならない。自身の意見はためらわずに主張しながらも、自分とは対立する主張であっても、まずは先入観なく耳を傾ける必要がある。その上で、納得できる点は受け入れ、不十分な点については指摘することが重要である。そうしたプロセスを踏むことで、主張が徐々に修正、改善され、これまで見えていなかったことは見えるようになっていく。これが議論の深まっていく過程である。こうした深い議論が行われることで、見落としや思わぬ弊害を防ぎ、より正当性の高い意思決定を行うことに繋がる。

 議論には目的があり、その目的とはよりよい意思決定を行うことである。そのためには多様な意見が同等に尊重される必要がある。その上で、支持されるべき点は支持され、批判されるべき点は批判されなければならない。こうした雰囲気をつくるためには、個人のリスペクトの意識が重要であると言える。

 

以上