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なによりも自分のためのブログ

これまでに考えてきたこと、ふと思いついたことを発信していきます。

読書録「確率思考の戦略論」

 マーケティングに確率論的な考え方を全面的に取り入れたのがUSJである.それが詳しく紹介されているのが以下の本である.この本の中で紹介されているフレームワークやモデルについて,まとめたい.

確率思考の戦略論  USJでも実証された数学マーケティングの力

確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力

 

 

売上予測のモデル化

 売上を決定づける要因は7つある.「認知率」,「配荷率」,「過去購入率(延べトライアル率)」,「エボークト・セットに入る率」,「1年間に購入する率」,「年間購入回数」,「平均購入金額」である.配荷率は,市場にいる消費者が製品サービスを購入しようと思えば,物理的に可能な状態にある比率である.エボークト・セット(Evoked set)とは,消費者が,製品サービスの購入の意思決定をする際に,頭の中の候補に上がるブランド群のことである.

これらの要因を基に,まずは製品サービスの年間購入者の割合をモデル化する.

 

(年間購入者の全世帯に対する割合)

=(認知率)×(配荷率)×(過去購入率)×(エボークト・セット率)×(年間購入率)

 

 さらに,年間売上は次のようにモデル化される.

 

(製品サービスの年間売上)

=(総世帯数or消費者数)×(1年間に買う人)×(平均購入回数)×(平均購入金額)

 

売上向上のための3つの方策

 前述の売上予測モデルの要因を向上させることが,企業のマーケティンの目的と解釈できる.そして,これらの要因を向上させるための方策は,3つに大別することができる.自社ブランドへの消費者のプレファレンスを高める,商品ブランドの認知を高める,配荷を高める,の3つである.つまり,企業の経営資源の配分先は,「Preference(好意度)」,「Awareness(認知)」,「Distribution(配荷)」に3つのいずれかになることを意味する.そして,認知と配荷は物理的な限界があるが,プレファレンスは,大きく改善することが可能である.そして,プレファレンスは,「ブランド・エクイティ―」,「価格」,「製品パフォーマンス」によって,決定づけられる.

 

認知率の向上

 売上向上のための方法として,認知率の向上がある.消費者となりうる人全員のうち,より多くの人に,自社のブランドを知ってもらうことが目標となる.こうした,ブランドの認知率を測る指標に,”Aided Awareness“と“Unaided Awareness”がある.前者は,ブランド名を挙げられた上で知っていると答えた人の割合,後者は,ブランド名を挙げずとも知っていると答えた人の割合である.例えば,「USJを知っていますか?」という質問に対して,知っていると答えた人の割合はAided Awarenessだが,「テーマパークや遊園地で思い浮かぶブランドは何ですか?」という質問に対して「USJ」と答えた人の割合はUnaided Awarenessである.消費者が実際にブランドを買ってくれるか否かを考える上では,Unaided Awarenessが重要である.これに該当していないブランドは,消費者のEvoked Setに入っていない,つまり,消費者の購入の意思決定時の選択時に入っていないことを意味するからである.

 特に,Unaided Awarenessの質問に対して一番最初に上がるブランドが重要である.これは,第一ブランド想起率(Top Of Mind Brand Awareness)といい,第一,第二に,自社ブランドが入っていれば,消費者のEvoked Setに入っていることと相関が高い.

 

配荷率の向上

  多くのチャネルに商品が置いてあるほど,消費者が買いたいと思ったときに買える状況にある.つまり,より多くの種類のチャネルや店舗に自社ブランドを置いてあるようにすることが配荷率を上げることにつながる.また,配荷されている店ごとに,どれだけの面積を使って自社ブランドが置かれているのか,どれくらい消費者の目につきやすい場所に置いてあったのか,と言った質的な面も重要である.

 

プレファレンスの向上

 プレファレンスの構成要素は,「ブランド・エクイティー」,「製品パフォーマンス」,「価格」の3つである.

 ブランド・エクイティ―とは,自社ブランドに対する消費者のイメージであり,これが一度消費者の頭のなかで出来上がると,なかなかそれが覆ることはない.すでに,市場に確かなブランド・エクイティーを確立しているブランドがある場合,それと同じブランド・エクイティーを勝ち取ることは難しい.差別化やターゲティングにより価値訴求する相手を限定することで,ブランド・エクイティ―をとがらせることができる.

 製品パフォーマンスは,製品のカテゴリーによって,プレファレンスへの影響度合いは変わる.薬や洗剤のような,製品の効果を消費者が厳しくチェックし,そしてその効果がわかりやすいカテゴリーであれば,製品パフォーマンスのプレファレンスへの影響度合いは強い.一方で,ミネラルウォーターのような製品であれば,消費者は違いがわかりにくいため,製品パフォーマンスは影響しにくい.

 価格は,安ければいいという考えになりやすいが,製品に対して適切な価格を設定することが長期的には重要である.良い製品を提供し続けるには,その分,必要となる経営資源も多くなる.したがって,そうした経営資源を確保するためには,それ相応の価格を製品に設定しなければならない.

 

以上