なによりも自分のためのブログ

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米国大統領選挙について思うこと

第45代アメリカ大統領にトランプ氏が選ばれました。かねてから多くの問題発言を繰り返してきた彼ですが、それはパフォーマンスであり戦略的なものであったとの分析をする意見もありました。いづれにせよ米国の民主主義が出した結論のもとにひとまずは進んでいく必要があると思います。政治に明るいわけではないですが、自分なりの今回の大統領選挙やその結果に対して感じたことを記しておきたいと思います。

 

メディアは民意を反映していなかった

選挙前から繰り返し、ヒラリー氏優勢だ、なんだかんだで圧勝だとの憶測が新聞各紙やニュースで報道されてたいと記憶しています。米国内だけではなく、日本においもそうした願望に基づいた楽観視のような報道は繰り返されていたように思います。両氏ともに問題があるものの、なんだかんだでクリントン氏が当選するであろうとの意見が大半でした。メール問題やトランプ支持者に対する非難の発言、選挙直前のFBIの再捜査報道などクリントン氏には大きな痛手となった問題もありました。こうした背景がありつつも、メディアはクリントン氏当選を信じてやまなかったように思います。しかし、ふたを開けてみると、トランプ氏が序盤から勝敗を分ける重要な州で票を獲得していき、最終的に当選を果たしました。現状の雇用や生活に不満が蓄積しており、トランプ氏支持が本音であるものの世間体を気にして人前では口にできなかった「隠れトランプ」の存在がこの逆転劇に立役者だとも指摘されています。対面インタビューで本音を聞き出す難しさといった調査そのものが孕む欠陥は確かにあるものの、メディアが報道してきたクリントン氏優勢は世論を反映していたとは思えません。メディアに出演するごく一部のインテリ層や都市部の比較的暮らしの豊かな一部の人間だけの願望でしかなかったように思えます。

 

ヒラリーの敗因は果たして「ガラスの天井」か

ヒラリー氏の敗退後のスピーチでは「だれかが近いうちに必ずガラスの天井を打ち破る」と熱く語っています。しかし、こうして敗因を女性の社会的な差別の問題に起因させることには疑問を感じざるを得ません。女性の4割がトランプ氏を支持したとの報道もありますし、他に多くの支持離れの原因があったはずです。私用メール問題による信頼の喪失や、トランプ支持者に対する失言もありました。また、選挙直前にFBIから再捜査をするとの報道もありました。一般市民からすれば、こうして直前に再捜査の動きがFBIを起こすということ自体、ヒラリー氏が問題を握りつぶしたせいではないか、と疑ってしまいます。また、現状の政治への不満もあったと思います。あれだけの人気を集めたオバマ政権であっても、徐々に支持する声は弱くなっていきました。これまでの体制でこぼれ落ちてきた人たちの不満や怒りが、「なにかやってくれそうなトランプ氏」の支持へと駆り立てたのかもしれません。これまでの政治体制や現政権への不満、クリントン氏の個人的な問題と、選挙結果に大きく影響を与えたと思われる要因が多くある状況で、「ガラスの天井」に責任転嫁をして、「美しい敗者」を演じて終わろうとするクリントン氏の姿勢には反感を覚えます。

 

民主主義国家で独裁者の暴走はできない

トランプ氏はメキシコとの間に壁をつくる、イスラム教徒を(一時的に)入国禁止にする、など過激な発言を繰り返してきました。こうした「偏った人間」というイメージから独裁政治が行われて、めちゃくちゃな政治をするのではないかと不安する人も多いはずです。しかし、その点に関しては米国や日本の政治体制の下では不可能ではないかと思うのです。あれほどアメリカ国民が熱狂して、支持を集めたオバマ政権も、大きな改善をもたらし得なかったとの批判もあります。オバマケアもその実現には長い年月がかかりました。それは、大統領1人では強引に自分の意見を実現することができず、議会の承認や、官僚たちの具体的な制度設計が必要不可欠で、よくもわるくも即断即決即実行ができない仕組みになっているからだと思います。なので、たとえトランプ氏が理不尽なことを提案しても、最悪官僚たちがボイコットすればなにも進みません。このように民主主義が「間違った結論」を出すことは織り込み済みで、社会の仕組みはできているのだと思います。間違いを繰り返しながらも徐々に、「正しい」方向に近づいていこうとする、それが「民主主義」なのではないかと思うのです。